nico先生は、陽当たりの良い海辺の診療所で、人々が元気で過ごせるように願いながら、日々診療にあたっています。そんなかたわら、時々ぼんやりしながら、いろいろなことを思うのでした。
夕食に 添えるの探しに 外に出る
赤いの 赤いの どこにある
おっと 茂った緑の 葉の奥に
隠れていたのを見つけたぞ
あさってくらいの 食べごろを
#ニコ先生の海辺の診療所より
岩のように 藻のように
なりすましているのか
自分の見ている景色になるなんて
体のどこに力を入れたらできるのか
そもそも その道を選んだことが
正しいと思わせる
説得力を持っている
変えない姿
暑い日 寒い日 雨の日 風の日
厳しいときの変化にも
動じず 耐えて 繋げてきた
だから 堂々として見えるんだ
ちっちゃいなぁ 自分
毎朝のぞくと
涼しげに 泳いでる
えさをおとすと
狂喜乱舞
ぱくぱくぱくぱく
ぱくぱくぱく
この瞬間を生きている
気がつくと パンッ
と口をひらいてる
口の奥は ガーネット鉱山
もいでしばらく置いとくと
その紅は深くなり さらに輝く
でもそれはどこかで
悲しい黒茶になる
ちょうどいいって
いつなんだろう
ここまでたどり着いた
いつ
どこから
どんなふうにして
広い地球上の
一点から一点だから
この浜辺で出会うとき
つい その姿と会話する
田圃を見ながら歩いていると
何やら 一度にたくさん
踏んづけた
足先に目をやると
それはそれは
道いっぱいに落ちていた
茶色い中にも 青いのもある
台風がいったんだった
今夜は 森のけものの
豪華な 豪華な 晩餐会
小さな実を見つけた散歩道
１つの房に２つずつ
かわいらしく ついている
とても小さくかわいいけれど
その１粒の「力」はすごいらしい
かわいいからといって
侮ることなかれ
海へと下り始めると
遠くの灯が 見えてくる
夜へとうつる 艶消しの空の
くりぬいた丸い窓に
ピントが合う
今日を見つけた
いずれ明日がやってくる
肌が湿るような朝
夜は
地上に「青空」を ぽつぽつ落としていた
太陽は
地上の「青空」を
天高いところに戻してしまう
とめられない
GIFT
すべてが溶けるほど
それはそれは暑い日に
露店のテントで 手に入れた
そこでは 素敵なモノも手に入るけど
心地よさも手に入れられる
夏の終わり
昼過ぎの散歩道に
エッジのきいた
影をおとす
とんがった光の束を
ひっきりなしに放ちながら
いつも変わらないはずなのに
この季節しかない
素敵な表情を創りあげる
めったにこない雨
来た時が 最大のチャンス
一滴でも逃すまいと
身構える
からだの中に 取り込めば
大切に大切に とっておく
いつくるかわからない
ちょうどいいだけ とっておく
「たくさんもらったからいらんかえ」
手には真緑の枝についた深紅の唐辛子
ありがたくいただき
あの日 一本ずつ瓶に詰めた
もう何年か・・・
今日の料理に取り出して
変わらぬ深紅の唐辛子
「元気にしてるかなあ」
